当院で行った他院修正(クランプ包茎術後)
こんにちは、ハシモトです。
今回は、他院でクランプ法の包茎手術を受け、仕上がりがいびつになってしまった男性の修正症例をご紹介します。
この患者さまは全国のクリニックで修正相談したものの、 「皮膚が足りないから修正は難しい」 「悪化する可能性が高い」 と断られ続け、最後に静岡の当院へ“すがる思いで”来院されました。
包茎修正は一次手術より圧倒的に難しく、特に皮膚量がギリギリのケースは通常“修正不可”という判断になります。しかし私は毎回の修正でこう思うのです。
「これは自分にしか治せない」
そして今回も、何日も考え、調べ、戦略を立てて修正に臨みました。
■ どんな状態で来院したのか?(クランプ法の問題点)
他院でクランプ法という器具を使った包茎手術を受けた患者さまでしたが、
- 皮膚が均一に切除できていない
- 亀頭下にボコボコした凹凸が残っている
- デザインに歪みがあり見た目の違和感が大きい
という状態でした。
特に重要なのは、縫合部位の内部に“上皮成分”が残っていたこと。 これが残っていると、皮膚の下に硬さと凹凸が生まれ、ボコボコした仕上がりになります。
私は後輩にも常に言っています。
「上皮の残しは絶対にやってはいけない」
包茎手術で最も基本かつ最も重要なポイントです。
■ しかし…皮膚が“足りない”という最大の問題が
ボコボコを切除すれば一見改善しそうですが、問題はここから。
患者さまは一次手術で皮膚がすでにかなり切除されており、余裕がほとんどない状態でした。
もし凹凸部分を大きく切除すると、
- 勃起時に突っ張る
- 痛みや変形が出る
- 性機能に支障が出る
こういったリスクが極めて高い。
普通のクリニックなら間違いなく修正を断るケースです。
■ 修正のために組み立てた“複数の作戦”
私は常に患者さまを救うために、複数の出口を持つ戦略を立てます。
① 最小限の切除で改善できるか?
まずはミリ単位の切除で凹凸が取れるかを検討。
② 皮膚が足りなくなった場合の皮膚移植
最悪の場合は皮膚移植も視野に入れる必要があります。
③ 切除できない場合はレーザーで上皮を焼灼し、“火傷後の上皮化”を待つ方法
皮膚を切らずに滑らかな表面を再形成する方法です。
ここまで複数の戦略を同時に考える医者は多くありませんが、私は修正を受ける以上、最後まで必ず助けたいと考えています。
■ 術中の“診断的切開”で状況が一変する
麻酔後、ボコボコしている部分の中心をほんの数ミリだけ診断的に切開し、瘢痕の硬さと深さを直接確認しました。MRIなどでは分からない領域です。
すると…
- 瘢痕組織は意外と柔らかい
- 進達度も浅い
ということが判明。
これにより、深部を温存したまま浅い層のみを切除すれば改善できる可能性が高くなりました。
これは大きな追い風でした。
■ さらに重要だった“勃起時の突っ張りの確認”
改めて患者さまに確認したところ、
「いまのボコボコ状態でも、勃起した時に突っ張りはありません」
という返答でした。
理由は、患者さまが
- 真性包茎で性交経験がなく
- 20代前半の若さで皮膚の伸展性が高い
という背景によるもので、加齢とともに皮膚はさらに柔らかくなります。
これらの情報から、私は
“ギリギリのデザインでも、突っ張りは起きない”
と判断。
ついに、1期的(ワンステージ)で修正できるという結論に至りました。
■ 手術の結果:1期的で“完璧な仕上がり”に
ボコボコ部分を丁寧に切除し、縫合はもちろん精密で均一なテンションで行いました。
術後2週間、抜糸のために来院された際の診察では、
凹凸は完全に消失し、ラインも滑らか。機能面も問題なし。
まさに“めでたしめでたし”という仕上がりでした。
患者さまも非常に喜ばれ、悩みから解放されたと話してくださいました。

■ まとめ:修正を断られても、あきらめなくていい
今回の症例は、普通なら修正が不可能と判断されるケースでした。 それでも私は、
「救える可能性が1%でもあるなら、助けたい」
その思いで何日も考え、戦略を立て、最善の方法で手術に挑みました。
全国で断られ静岡まで来てくださった方が、笑顔で帰っていく姿を見ると、外科医としての使命を強く感じます。
包茎手術でお悩みの方、他院修正で断られた方は、一度ご相談ください。必ず力になります。
当院HPはこちらです。