性同一性障害(GID)で悩んだら(MTF編)男から女に


性同一性障害で悩んでいるが誰に相談したらよいのか?性転換手術を考えているがどこで受けられるのか?今の自分が反対の性の見た目に生まれ変われたら、

今回はそんな悩みに少しでも力になれたらと思い性転換手術に携わってきた経験を踏まえ説明していきます。MTF編です。

 

 

1、性同一性障害(GID)とは

生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者。(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 2003年)

と定義されています。

心の性別と身体の性別が一致しない事ですね。

2、日本における性同一性障害(GID)の人数

日本全国で約4万6千人の方が性同一性障害で悩まれています。(札幌医科大病院調べ 2013年)

性同一性障害に悩んでいるのはあなただけではありません。

3、日本における性同一性障害(GID)の歴史

日本で性同一性障害という言葉が広がり始めたのは、2000年頃からです。これは埼玉医大で倫理審査が通り、性同一性障害の人たちに対する性別適合手術を行うことが倫理的にも正しいと認められ、公に治療が行われるようになってからのことです。

また、メディアでも2001年ドラマ(金八先生)において、上戸彩さんが性同一性障害の役を演じ世間に広く知られるきっかけとなりました。

4、性同一性障害(GID)の診断を受けるためには

まず近隣の精神科(メンタルクリニック)に通院します。

半年~1年年程度のカウンセリングを行い、染色体検査、血液検査と性器の検査をうけて、性同一性障害の診断が出ます。

5、性同一性障害(GID)の女性ホルモン治療までの流れ

身体的治療を行う医療機関に「診断書」のコピーを提出し、ホルモン治療を開始します。

約3ヶ月の女性ホルモンの投与で男性ホルモンや精子の産生が低下し始め、半年から1年で永久不妊になるといわれています。

*注)一過性の女性化願望の方や、男性の生殖機能を失いたくない方には、女性ホルモン治療は絶対に行ってはいけません。

6、性同一性障害(GID)の女性ホルモン治療の種類

1、卵胞ホルモン(エストロゲン)
卵胞ホルモンは女性の第二次性徴に関与しているので、女性化を望む人の第一選択となります。

内服薬:プレマリン錠、デボシン錠、プロセキソール錠等

注射薬:ペラニンデポー、プロギノンデポー等

パッチ剤:エストラダーム等

2、黄体ホルモン(プロゲステロン)

黄体ホルモンは、主に妊娠の維持に関与しています。

黄体ホルモンは、女性化を望む人に用いても、標的臓器が少ないため、第一選択にはなりません。

女性化が少ないので社会的に性同一性障害(GID)を公に出来ない方の場合には第一選択となります。

卵胞ホルモンの使用により、ある程度乳腺が発達したならば、黄体ホルモンは、それを更に発達させるように働きます。(個人差あり)

内服薬:プロベラ錠、ヒスロン錠等

注射薬:プロゲデポー、プロルトンデポー、オオホルミンルテウムデポー等

パッチ剤:メノエイド(卵胞ホルモン、黄体ホルモンのミックス)等

スピロラクトン(利尿薬)

スピロラクタンはホルモン剤ではなく利尿薬です。

副作用で女性化乳房を来たす事があります。

7、性同一性障害(GID)の女性ホルモンの投与法と投与間隔

内服剤は1日3回、毎日内服。

注射剤は月に1回〜2回。

内服剤より注射剤の方が女性化を来たしやすいといわれています。

8、性同一性障害(GID)の女性ホルモンのメリット・デメリット

・メリット

1)性腺刺激ホルモンの分泌を抑制するため睾丸での、男性ホルモンや精子の産生の抑制をします。

約3ヶ月の女性ホルモンの投与で、男性ホルモンや、精子の産生が停止し始め半年から1年の女性ホルモン投与で、永久不妊になるといわれています。

2)身体の女性化

乳房、乳線の発達。

体脂肪の増加。

筋肉量の減少。

皮膚、毛髪の女性化。

*注)第二性徴期が終了し、骨端線が閉鎖したあとでは、女性ホルモンによる骨格の女性化(骨盤が広くなるなど)は起こりません。

3)薄毛予防

AGAの原因物質と言われる5α-DHTという男性ホルモンの分泌が抑えられる。

また女性ホルモンは毛の成長を抑制する効果があるので毛髪の寿命も延びるため長髪にしやすくなります。

・デメリット

1)乳がんのリスク

男性の乳がんのリスクは本来ほとんどありませんが、乳がん遺伝子BRCAがある場合、女性ホルモンによりリスクが上昇します。

女性ホルモンにより、乳がん発生率も女性並みになるのです。

ご家族・親戚で乳がんになった人がいる場合は要注意です。

2)血栓傾向

女性ホルモンは血液を固まりやすくします。

3)性機能の低下

男性ホルモン低下により、本能的な性欲は低下し、基本的に男性としての性行為はできなくなります。

4)精神不安

うつやイライラ感が起こりやすなります。

5)むくみ

女性ホルモンは、塩分と水分の貯留を増加させむくみの原因となります。

6)糖尿病の悪化

女性ホルモンにはインスリン感受性を下げる働きがあります。

7)吐き気、つわり様症状

妊娠初期症状に似ていて内服薬の方が起こりやすいです。

8)肝斑といった、しみを顔に作ることがあります

9、睾丸摘出手術はまだするな!

「睾丸があると、いつまでも男性ホルモンが出続けるから、早く取ったほうがいい」などという、迷信に惑わされることなく、ホルモン療法を正しく理解してください。

睾丸を取ったところで、男性ホルモンが完全に無くなることはありません。

副腎や、他の臓器からも、微量ながら男性ホルモンは作られています。

睾丸を取らなくても、正しくホルモン療法を受ければ、その機能を十分に抑えることができます。

・睾丸摘出手術をしてしまうと、二度と戻せない。

・睾丸摘出手術をしたら(しても)、女性ホルモンは生涯続ける必要がある。

・睾丸摘出手術をして女性ホルモンを投与しない場合、骨粗鬆症、更年期障害になることがある。

・術後の合併症がまれに起こる(感染・血腫等)

10、睾丸摘出術(MTFに対する性別適合手術の第一段階)の実施にあたっての確認事項

  • すでにホルモン治療が行われている。
  • ホルモン治療にもかかわらず、依然としてsexとgenderの不一到に悩み、手術療法を強く希望している。
  • 自己が選択した別の性に対し、特続的かつ安定的な適合感がある。
  • 自己が選択した性で生活することに伴う身体的困難、現在の社会的立場や家庭内で起こる様々な問題に対処できる条件が整っている。
  • 手術とその効果に対する事態に十分に対処できる人格を有している。
  • 手術によって生ずる身体的変化、随伴症状、社会生活上の変化、家族や友人との関係、性的な問題など十分理解し、判断している。
  • 家族や親しい人が手術療法に理解を示している。
  • 満20歳以上である。

11、睾丸摘出手術の実際

  1. 笑気ガスを使って、痛みを抑えます。
  2. 鼠径部に局所麻酔を打ちます。
  3. 陰嚢の裏側をメスで切開し、睾丸を露出します。(この時に麻酔が効いていても痛みが出る事があります。片側30秒ほど)
  4. 睾丸に繋がる精索を糸で結紮します。
  5. 精索を切断して、睾丸を摘出します。
  6. 陰嚢を縫合し手術終了となります。

手術時間は約30分で日帰りで行います。

血腫予防のために、陰嚢部をテープで圧迫固定します。

*手術のやり方のイラストです。

*実際の手術動画です。

些細な事でもお気軽にご相談ください。
橋本健太郎
問い合わせメール shizuoka@hashimotoclinic.co.jp
ご予約はこちらまで 0120-686-100
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