若返り・輪郭修正・豊胸のためのヒアルロン酸注入 静岡美容外科橋本クリニック
連日の台風で足元が悪い中多くのお客様に来院していただきありがとうございます。
今回は美容外科でポピュラーなヒアルロン酸についてです。
ヒアルロン酸注入による施術は手軽さや安全性、そして効果の高さから大人気の施術で、注入する部位により目的や効果が異なります。
そこで今回はヒアルロン酸注入のお話をいたします。
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸といえばコラーゲンと並んでお肌にいいイメージですが、どんな成分なのでしょうか。
コラーゲン
コラーゲンは肌だけでなく、実は身体のさまざまな部分に存在しています。
身体の弾力やしなやかさを生み出すタンパク質のひとつで、細胞と細胞を結ぶ役割があり、また、肌だけでなく骨や血管、関節などにも含まれています。
コラーゲンの役割は幅広く、肌のハリや弾力をつくる、関節をスムーズに動かす、骨を丈夫にする、そして、血管のしなやかさを保つなど働きは多様です。
肌では真皮層に網目のように張り巡らされられたコラーゲンは、肌のハリや弾力を維持する役割があります。
コラーゲンはエラスチンやヒアルロン酸と同じように繊維芽細胞でつくられていますが、年齢とともに機能が落ちてしまうためシワやたるみなどの症状が現れます。
ヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸は皮膚や関節、目に含まれており、体内で様々な役割を果たします。
基本的に細胞と細胞の間に多く存在し、皮膚においては水分を保つ働きがあります。
人間の皮膚は外側から順番に、「表皮・真皮・皮下組織」の3つの層に大きく分けることができます。なかでも表皮の約10倍の厚みがある真皮には多くのヒアルロン酸が含まれています。
ヒアルロン酸はコラーゲンと同様に肌の構造物のひとつですが、その役割は異なります。細胞と細胞の間でクッションのような役割を果たし、健康で若々しいお肌を作り上げます。
肌を建造物に例えると、コラーゲンは建物を支える柱や梁といった骨組みのようなもの、ヒアルロン酸はそこに流し込むセメントのような補充剤です。
水分を留める役割(1gあたり6Lの保水力)を担っているので、肌の保湿性や弾力を保ち、しわやたるみを予防してくれるのです。
しかし、体内のヒアルロン酸は、年齢を重ねるごとに減っていき、皮膚のヒアルロン酸は40歳後半から減少していきます。
ヒアルロン酸注射の歴史
ヒアルロン酸は1934年に米国コロンビア大学教授らによって、牛の目の硝子体から発見されました。
硝子体を示すギリシャ語の「ヒアロイド(Hyaloid)」と多糖体の構造単位である「ウロン酸(Uronic acid)」を合成しヒアルロン酸(Hyaluroni acid)と名付けられたましたのが始まりです。
きっかけは、1940年代、関節炎になり廃馬寸前だった競走馬の関節にヒアルロン酸を注射すると見事に復活し、レースで優勝したそうです。
これが人体への応用のきっかけになりました。
1950年代後半から医学界で幅広く使用され始めたヒアルロン酸ですが、当初は人の臍帯や鳥の鶏冠から作られていましたが、動物由来のヒアルロン酸であるためアレルギーなどの副作用のリスクがありました。
近年は連鎖球菌由来の非動物性ヒアルロン酸が精製されるようになり、アレルギー反応はほとんど起こらなくなりました。
日本国内でヒアルロン酸が医薬品として使用開始されたのは1987年からで、変形性膝関節症の治療薬として発売され、現在医薬品としては、変形性膝関節症、肩関節周囲炎、眼科領域、外科領域と幅広く利用されています。
現在ヒアルロン酸注入は若返りなどの美容医療で大人気の施術です。
2000年に医療品の審査の厳しさでは定評のあるFDA(日本の厚生労働省にあたる食品医療局)の承認をアメリカの各メーカーが受けたことから、ヒアルロン酸注入による美容技術が一気に進化し、広がっていきました。
ヒアルロン酸注入の目的
美容の分野でヒアルロン酸は老化による顔のボリュームの減少を補ったり、鼻や顎のような輪郭を出したりするために使用されます。
ヒアルロン酸は永久的な効果はなく、体内で吸収されてなくなってしまいます。
ヒアルロン酸には種類があり、鼻や顎をしっかりと出すために使用される硬いヒアルロン酸、逆に唇や目の周りに使用される柔らかいヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸注射の種類
ヒアルロン酸と言っても1種類しかない訳ではなく、多様な製品があります。
単純に言ってしまえば、目の周りに使用するような柔らかいヒアルロン酸~鼻や顎を出すような硬いヒアルロン酸が段階を分けて数種類ある訳です。
ですので、場所が決まれば種類は決まってしまう事が多いです。自分で選べる場合は少ないです。
注射されて体内に入ったヒアルロン酸は徐々に分解されてなくなっていきます。
効果を実感できるのは、柔らかいヒアルロン酸では4カ月程度、硬くて持ちの良いもので6カ月~1年程度です。
ヒアルロン酸注入:エイジング対策
顔にたるみが生じると老けた印象を与えてしまいます。
たるみを引き起こす原因として「肌の弾力の低下」「表情筋の衰え」「皮下脂肪の減少」などがあり、その結果、顔の凹凸が年を感じさせたり、肌のハリがなくなったりしてきます。
ヒアルロン酸注入により以下のお悩みを解決することができます。
- 法令線
- ゴルゴ線
- マリオネットライン
- 頬のこけ
- こめかみのボリューム低下
- 瞼のくぼみ
これらの場所にヒアルロン酸注入でボリュームを増やし、顔の凹凸を解消することで見た目を若返らせます。
また、直接皮膚に潤いを与えるわけではありませんが、お顔のボリュームが増えることにより、肌自体もピンんと伸ばされて、ハリが増したようになります。
ヒアルロン酸注入:輪郭修正
以下の部位にヒアルロン酸注入をすることで、希望の輪郭に近づけます。
以下の部位には広がりにくく形を維持できるヒアルロン酸を注入します。
基本的に固めのヒアルロン酸を用います。
- 鼻を高くする
- 顎を出してシャープにする
- 額に丸みをもたせる
費用:アクアフィリング3㏄ 195000円(税別)
治療時間:30分程度
リスク:内出血・腫れ 1週間程度、感染の可能性
下記の部位には中等度の硬さのヒアルロン酸を注入します。
- 頬・こめかみのこけをふっくらさせる
下記の部位には部位には柔らかいヒアルロン酸を注入します。
- 涙袋を作りたい
- 唇をふっくらさせる
柔らかすぎると広がってしまい、硬すぎると凹凸が出来てしまうため、それぞれ適したヒアルロン酸を使用することが大切です。
希望の部位ごとにヒアルロン酸を使い分けることが肝要です。
ヒアルロン酸注入:豊胸
10年ほど前から流行したこのヒアルロン酸注入による豊胸は、短時間の手術で胸のボリュームアップや、形を整えることが可能です。
ダウンタイム(腫れや内出血)が短いので、長期休暇が取れない方でも施術ができ、「プチ豊胸」として大人気です。
欠点として注入方法を間違うとしこりになる、せっかく注入しても半年で吸収されてしまうなどが挙げられますが近年これらの欠点を補うアクアフィーリングという物質も登場し注目されています。
アクアフィーリングは最近、やっと価格もこなれて安くなりヒアルロン酸と同程度の価格になりましたね。
以前ブログで「豊胸手術について」紹介しております。
フィラー(ヒアルロン酸やアクアフィリングなど)による豊胸の特徴や注意点などまとめてありますので是非ご覧ください。
ヒアルロン酸注入の合併症とその対処法
ヒアルロン酸注入は基本的に安全です。
人体にとって悪影響を与えるものではありませんし、約6か月程度でヒアルロン酸の種類にもよりますが吸収されてなくなっていきます。
また、何かトラブルがあった際にヒアルロン酸溶解注射(ヒアルロニダーゼ)言う注射で完全に溶かすこともできます。
しかし、いくつかの副作用(合併症)がありますので、対処法とともに以下にまとめました。
ヒアルロン酸の注入後の内出血・腫れ
針を使用する限り、体の中の血管に傷をつける可能性があります。
内出血は1~2週間ほどで吸収されて改善しますので経過観察を行います。
内出血がひどく出てしまった場合には腫れも出ますが、こちらも時間の経過とともに改善します。
急性期に冷やしたり、マッサージは内出血の助長、感染の誘起になるのでお勧めしません。
クリニックでの内出血対処法
解剖学的に大きな血管集合部位を避けて注入する。
針を鈍針、極細針、エピネフリン入りの麻酔を使用する。
また、ヘパリン類似用物質として「ヒルロイドクリーム」などの医薬品を使用し、内出血の吸収を促すことも効果的です。
合併症の起こりやすい部位
目回り、額。
ヒアルロン酸注入後の チンダル現象
目元や鼻にヒアルロン酸を入れると「チンダル現象」といって、ヒアルロン酸が青くすけて見られる方がいらっしゃいます。
チンダル現象が起きるとヒアルロン酸を入れたという事がバレバレの仕上がりになってしまいますので、チンダル現象が起こった患者様の多くが改善を求めにクリニックに再診しにみえます。
これを解消するにはヒアルロン酸を分解する注射を打つ必要があります。
なのでせっかく気になっている部分にヒアルロン酸を入れたのに元に戻ってしまうというわけです。
正しいヒアルロン酸の選択、入れる深さの調整が大事です。
特にクマへのヒアルロン酸注射は皮膚が薄い部分ですので医師の経験が大切になります。
対処法
処置後早期の場合はマッサージしてなじませたり、目の周りは体の水分の影響も受けやすいので様子を見る必要があります。
合併症の起こりやすい部位
目の下・鼻・法令線など
ヒアルロン酸注入後のしこり・凸凹
見た目に凹凸が出るケースは、皮膚の浅い所に不均一にヒアルロン酸を注入した場合や、目の周りなどの皮膚の薄い場所に多くのヒアルロン酸を注入した場合に生じます。
また通常、ヒアルロン酸は吸収されてなくなりますが、解けずに残ってしまいしこりになる場合があります。
ヒアルロン酸を一か所に固めて入れてしまうことによりしこりになったり、鼻や涙袋など狭い範囲に間違った量を入れると解けずに残ってしまう場合があります。
また、体質によってヒアルロン酸の周りに厚い被膜を形成してしまうことでしこりを形成する方もいらしゃいます。
対処法
凹凸が消えない場合は溶解注射で溶かす方法もあります。
気になる場合はヒアルロン酸溶解注射で溶かすことができます。
被膜形成によるしこりは被膜を貫通させながらヒアルロン酸溶解注射(ヒアルロニダーゼ)を打つ事が必要になります。←難易度高め。
合併症の起こりやすい部位
目の上・目の下、ほうれい線
ヒアルロン酸注入後の血流障害(塞栓・圧迫)
ヒアルロン酸が血管内に入ってしまったり、血管を周囲から圧迫することにより血液のめぐりが悪くなることを血流障害と言います。
この合併症が一番厄介で私自身も経験あります。(10年で4例ほど)
学会やセミナーでもこの合併症については頻繁に取り上げられますし、どんなに注意しても100%予防は難しいです。
個人意見ですが分子の大きいヒアルロン酸でこの合併症を起こすと回復までに時間がかかり、
分子の小さいヒアルロン酸、分子の無いアクアジェルなどは軽症で済む事が多いです。
予防策としてエピネフリン入りの局所麻酔を使用し、特殊なカニューレを持ちいて注入しております。
どこの部位でも起こる可能性はありますが、血流障害が多く報告されている場所は以下の部位です。
- ほうれい線~鼻にかけて(←経験あり)
- 眉間(←経験なし)
- 目(視力低下や失明)(←経験なし)
- ゴルゴ線の内側(←経験なし)
イメージとしてはほうれい線~鼻の近辺が危険部位です。
血流障害が起きた場合、以下の少々が出現します。
- 注入中の激しい痛み
- 注入後出現する激しい痛み
- 皮膚の色調の変化
- 皮膚に水泡ができる
ただし、頻度としては非常に低く、1万件~10万件に1件くらいです。
対処法
まずは医師に相談します。
状態にもよりますが、やさしくマッサージすることで改善する場合があります。
必要時はヒアルロン溶解注射で対応します。
合併症の起こりやすい部位
ほうれい線・鼻など
痛み
ヒアルロン酸注射は注射のハリを使って注入しますので注射の痛みが生じます。
対処法
ヒアルロン酸注入部位に局所麻酔を使用します。
また、部位によっては、表面麻酔や笑気ガスを使用したり、冷やしてから注入を行います。
合併症の起こりやすい部位
注入部位全て
アレルギー反応
ヒアルロン酸自体はアレルギー反応を起こさないと考えれれています。
しかし、ヒアルロン酸製剤には局所麻酔薬が入っていたり、製品を安定させるための成分が微量ながら入っていりため、100%アレルギー反応が起こらないとは言えません。
対処法
アレルギー体質や、麻酔にアレルギー反応を起こした経験のある方は、問診時に担当医に申し出るようにしてください。
合併症の起こりやすい部位
注入部位全て
まとめ
ヒアルロン酸は肌の保湿性や弾力を保ち、しわやたるみを予防してくれる物質ですが、加齢とともに減少していきます。
ヒアルロン酸注射は老化による顔のボリュームの減少を補ったり、鼻や顎のような輪郭を出したりするために使用される安全性の高い施術です。
適切な対処法をとることで稀に起こりえる合併症をかなり回避できます。
ヒアルロン酸に関連する当院の診療内容は以下を参照してください。
些細なことでもお気軽にご相談ください。