笑気ガスを用いた痛み対策
美容クリニックに限らず、全ての病院・クリニックで行う検査、治療には多少なりとも精神的苦痛、肉体的苦痛が伴います。
特に病気を治す病院とは異なる美容クリニックでは、精神的・肉体的苦痛を極力減らすべきだと考えております。
今回はそんな、精神的・肉体的苦痛を簡単に減らす効果のある笑気ガスについて説明します。
1、痛みを感じる理由
痛みは身体を損傷するような侵害性の刺激によって起こり、身体を脅かす危険な信号を脳に知らせるという重要な役割を果たしています。
もし、人が痛みを感じなければ危険な状況を脳が把握出来ず回避行動を取らないため致命傷となるためです。
2、痛みが強いのは表皮だけ
痛覚の受容器の大半は表皮の部分に存在して、小さな枝を出して分布しています。
例えば採血などで針を体に挿入する時、表皮を貫く瞬間が一番痛くその後はあまり痛くなくなります。
さらに細い針を使って注射をすれば、痛覚受容器に触れる確率が低く、注射をしても痛くない確率が高くなります。
3、痛みを抑える方法
1)表面麻酔
痛覚神経の末梢終末を麻痺させる方法で、粘膜・創面に局所麻酔薬の塗布や噴霧などを行なう。
リドカインゼリーやリドカインテープの塗布です。
正常の皮膚にはほとんど効かない。
2)局所浸潤麻酔
皮下に局所麻酔薬を浸潤して、末梢にもっとも近い部分で遮断する。これが狭義の「局所麻酔」と言われている方法です。
3)冷凍麻酔
冷却材・冷却スプレーなどを用い短時間感覚を鈍麻させます。
4)笑気麻酔
治療への恐怖心を取り除くために行う「笑気麻酔」は、安心、安全で安価です。
笑気麻酔とは、「笑気」を吸って不安や恐怖心を軽減させ、気持ちを落ち着かせる作用があります。
4、笑気麻酔の効能
・不安や恐怖感を減らす
笑気麻酔には、不安を和らげ、緊張をとき、精神的にも肉体的にもリラックスした状態にする作用があります。治療中の痛みや不安を感じづらくなるため、治療もスムーズに行え、治療後の疲労感も違ってきます。
・治療による持病への影響の低下
人は緊張するとも人は心拍数や血圧が上がります。
笑気麻酔を利用したリラックスした治療は、心拍数や血圧を低下させ患者さんを守ります。
〜笑気麻酔が向いている人〜
- 恐怖心や不安が強い人
- 高齢者
- 神経質な人
- 高血圧や心疾患など内科的慢性疾患をもつ人
〜笑気麻酔が向いていない人〜
- 妊娠、授乳中の女性
- 鼻づまりやアレルギー性鼻炎などで鼻呼吸ができない人
- ぜんそくや気胸などの呼吸器疾患がある人
- パニック障害や過換気症候群の経験がある人
- 肺や腸に閉塞性疾患のある人
- てんかんの既往がある人
・笑気麻酔の安全性
笑気には毒性がないため、笑気麻酔による副作用の心配は、ほぼないと言われています。さらに、血中からの排出が早いため、治療後の回復が早く、長時間の経過観察が必要ないこともメリットの一つです。
笑気が中枢神経に影響を与えることはないため、呼吸や血液循環、反射機能が落ちる心配もありません。そのため治療後すぐに帰宅できるのです。
笑気には毒性も副作用もないので、小さなお子さまやお年寄りにも安全です。
些細な事でもご相談ください。
橋本 健太郎