糖尿病に伴う繰り返す包皮炎の病態とその治療について
こんにちは。
包茎手術治療を行っていると「繰り返す包皮炎でお悩みでいっそのこと手術してしまいたい」という相談をよく受けます。
このような方は大抵の場合、糖尿病が基礎疾患にある場合が多いです。
なので今回は糖尿病に伴う包皮炎はなぜ起こるか?
またその治療についてお話ししたいと思います。
糖尿病は傷が治りにくい、、?
糖尿病はある程度進行すると末梢(指先、陰茎など)の循環不全とそれに伴う末梢細胞の低栄養が起こります。
これが起こると糖尿病じゃない方と比較し末梢の傷が治りにくくなります。
包皮炎などの浅い傷でも治るのに時間がかかり繰り返すことで皮膚が固くなりさらに皮膚が裂けやすくなります。(悪循環、、)
包皮炎とは?
包皮炎とは、文字通り陰茎の皮が炎症を起こしている状態です。
包皮炎の症状としては、炎症によって赤くなったり腫れたりします。それによって痒みや痛み、皮が裂けたり(医学的に表皮剥離とも言います)します。
症状がひどい場合は、膿(黄色い液体)が出てきたり尿の通り道である尿道や腎臓に炎症が波及し、熱が出たりおしっこをすると痛みが出る(排尿時痛)などの全身症状を起こすことがあります。
上図のように包皮炎は皮が赤く腫れたり、包皮が裂けたりします。
包皮炎は糖尿病が無い人にも普通に起こりますが、糖尿病のある方と比べて傷が治りやすい為、あまり気にならない人が多いです。
包皮炎の原因は大きく分けて2つ!
①包皮に摩擦などの物理的刺激で生じる。
②包茎により常に包皮がかぶっているため不衛生になり感染が生じる。
また、これらが絡み合い包皮炎を生じる場合もあります。
新薬の糖尿病治療薬の一つであるSGLT2 阻害薬(スーグラ、ルセフィン、フォシーガ、デベルザ、カナグル、ジャディアンス)は、尿に糖を排出する事で血糖を下げる薬があります。
包皮炎という観点から見ればSGLT-2阻害薬により尿に糖が排出され、糖は細菌の繁殖を促進し包皮炎を起こしやすくなります。
糖尿病に伴う繰り返す包皮炎の治療
上の図のように包皮炎の好発部位は、亀頭側の包皮となります。
亀頭側の包皮は垢が溜まりやすく、皮膚が薄いため摩擦に弱いからです。
一方で、陰茎基部側の包皮は垢が溜まらず、皮膚が厚く摩擦に強いため包皮炎になりにくいです。
当院の亀頭直下環状切開法は、上の図のように包皮炎の好発部位である皮膚の薄い亀頭側の包皮を切除し、皮膚の厚い陰茎基部の包皮を上方に持ってきて亀頭のすぐ下で縫合します。
包皮炎によりダメージを受けた亀頭側の包皮を切除する事ができ、皮膚の厚い陰茎基部側の包皮で置き換えるため摩擦にも強くなります。
また、包茎手術を行うことで、亀頭と余分な包皮の間に垢がたまらなくなり衛生環境も改善します。
そのため、亀頭直下環状切開法は、包皮炎の治療にも予防にもなります。
上の図のように、一般的な包茎手術は皮膚の厚い陰茎基部の包皮のみを切除し縫合するため皮膚の薄い亀頭側の包皮炎好発部位は残ってしまいます。
包皮炎によりダメージを受けた皮膚の薄い亀頭側の包皮が残るため、摩擦に弱いままとなり包皮炎を繰り返す可能性があります。
以上から包皮炎を起こす包茎手術の場合は、亀頭直下環状切開法が最も良い方法と考えます。
患者さんの状態や病態に合わせてしっかりとカウンセリングを行い、最適な治療を御提案していきます。
当院の包茎手術の詳細に関しては、別のブログで詳しく説明しています。是非ご参照ください。
以下リンクから検索できます。
https://hashimotoclinic.co.jp/blog/syoutaikeisei/
繰り返す包皮炎の症例報告
51歳男性 既往に糖尿病があり繰り返す包皮炎の治療目的で受診されました。
診察時は、包皮の発赤疼痛を伴う包皮炎を認め仮性包茎タイプでした。
糖尿病内服薬にSGLT2阻害薬であるフォシーガを内服していました。
亀頭直下環状切開法で包茎手術を行い炎症を起こしていた包皮炎部は切除し、健常皮膚の陰茎基部の包皮を亀頭直下に縫合し手術を終了しました。
2週間後の抜糸の時点で、包皮炎の改善と仮性包茎の改善を認めました。
その後の診察で性生活も快適に送っているとのことでした。
まとめ
今回は糖尿病と包皮炎の病態と治療について症例を含め紹介させて頂きました。
包皮炎を繰り返し既存の治療では改善せずお困りの場合、お気軽に相談してください。
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