前編!現代のわきが治療の種類とそれぞれのメリット・デメリット(独断・偏見ありです)

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みなさまこんにちは。

静岡橋本美容クリニックの橋本です。

わたしは美容の医師になって約20年です。

当時は『二重』・『わきが』・『包茎』が三種の神器と教えて頂き、ひたすら勉強したのを今でも覚えています。

ちなみに今でも自分はこの3つが美容外科の基本手技だと信じており、後輩指導に用いています。

さて、そんなこんなで20年ずっと「わきが手術」に携わって来ました!

その間に、たくさんの施設でたくさんの「わきが治療」を勉強させていただきました。

なので今回は巷にあるわきが治療の、おおよその種類とメリットとデメリットを独断と偏見を交えてお伝えします。

簡単にわきがの原因と治療目標の説明します!

わきの皮膚の下には一様にアポクリン汗腺、エクリン汗腺というニオイや汗を出す器官があり、これが「わきがの原因」です。

なので、

わきが治療の治療目標はアポクリン汗腺、エクリン汗腺の①機能停止もしくは②切除です。

①アポクリン汗腺、エクリン汗腺の機能低下→ボトックス、機械系(ミラドライ・ビューホット・針脱毛系)

②アポクリン汗腺、エクリン汗腺全て切除→手術

では詳しく見ていきましょう。

①わきがの治療のアポクリン汗腺、エクリン汗腺の機能低下について 皮膚を切らない系

この項目は汗腺の機能を低下させ症状を抑えるものです。

代表的なものとして、ボトックス、機械系(ミラドライ・ビューホット・針脱毛系)があります。

ワキボトックス

~ボトックスを打つと汗が止まる仕組み~

アポクリン・エクリン汗腺は脳からの『出してください―!』の命令を神経伝達物質のアセチルコリンという物質によって指令を受け入れオン・オフしています。

ボトックスはこのアセチルコリンの伝達を阻害するため効いている期間(約半年)はアポクリン・エクリン汗腺の機能を停止してくれます。

なのでボトックスを脇の皮膚に一様に注入すると治療は可能なのです。

≪通常時≫ (汗腺が元気)

≪ボトックス使用時≫ (汗腺機能が停止)

ミラドライ・ビューホット・針脱毛系

このカテゴリーはアポクリン・エクリン汗腺に熱を加えることで、破壊しその機能を無くす目的で行う施術です。

ここで厄介なのは汗腺は皮膚の下にあるのに、皮膚から熱を入れるということです。

皮膚の構造はこんな感じで今回の主役の汗腺たちは真皮の下にいます。

実際はこんな感じ。

これは手術の画像ですが

beforeこの画像にあるこのツブツブが汗腺です。

after画像にある白いゴムみたいなのが真皮です。

真皮の直下に汗腺がベッタリとくっついているのがわかると思います。

ポイントはこの真皮の直下にベッタリとくっついてる汗腺にだけ熱を入れ破壊もしくは機能低下させ、真皮に熱を入れないことが物理的に可能か?です。

熱が真皮に入りすぎると火傷になってしまうので(Ⅱ度)

どんな熱の入れ方でも熱は熱源から同心円状に広がります。

熱は点から、同心円状に広がるのが標準的です。

無理ゲーすぎません?w

だって汗腺は約60 度の熱でやっとダメージが入り、人体は60度の熱に5秒接触すると火傷になります。

以下は温度別に皮膚が損傷を受けるまでの時間を示した一般的な目安。

温度 火傷(熱傷)に至る時間 火傷の種類(目安)
44 ℃ 約6時間 軽度のダメージ(Ⅰ度熱傷の可能性)
50 ℃ 約2〜3分 軽い火傷(Ⅰ〜Ⅱ度)
55 ℃ 約10〜30秒 II度熱傷(痛みや水ぶくれ)
60 ℃ 約5秒 深い火傷(Ⅱ〜Ⅲ度熱傷)

なので現実的にこれらの機器で与えることのできる熱は45から50度が限界で中途半端な破壊は起こるが死滅には至らない。

中途半端な破壊は一時的には症状の改善が起こりますが、再生に伴い症状も再発します。(6か月くらいで再発)

実際にミラドライ・ビューホット・針脱毛系のどれかを受けた方の手術をした時の術中写真です。

この方はわきが治療機器を2回受けたけど症状の改善が無いため手術をした方です。

しっかり汗腺が確認できますね汗・汗

ミラドライ・ビューホット・針脱毛系の時系列イラスト

≪通常時≫

≪熱線照射時≫

≪施術後半年後≫

①わきがの治療のアポクリン汗腺、エクリン汗腺の機能低下について 皮膚を切らない系のまとめ

①ボトックスは効いている間は一次的に機能不全になるのでわきがの治療になりうる。

②どんな機器を用いても、皮膚切開をせずに行うと、汗腺のみを皮膚・真皮に火傷を作らずに一様に死滅・機能停止は物理的にかなり困難である。

③これらの施術後の方を実際手術してみるとちゃんと汗腺はいる。(患者さんはニオイや汗の自覚症状あり)

④仮に一時的に汗腺がダメージを受け機能低下しても再生に合わせて臭い汗も再生する。

次回、後編手術編です!

当院のHPはこちらです!