わきが手術(イナバ式組織削除法)の実際 静岡美容外科橋本クリニック

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昨今、わきが多汗症治療はボトックス、手術よりもレーザー機器による治療が流行しつつあります。

私は美容外科医になって長年、わきが多汗症治療に携わってきました。

なので、わきが多汗症当事者の悩みも深く理解、共感しているつもりです。

私が美容外科医になった当時はレーザー機器によるわきが、多汗症治療は無く、手術またはボトックスの2択でした。

当然、手術はボトックスに比較してダウンタイムも多く固定などをする期間があります。

手術自体も小さな切開創から、わき全体の汗腺を術者の手の感覚だけで除去するという非常に難易度の高い施術です。

どうやったら、汗腺を完全に取り除けるか、どうやったら傷や赤みを減らせるか先輩医師や同僚医師と議論に議論を重ね試行錯誤を行い5年目くらいから、ほぼ完璧にわきが多汗症手術が行えるようになりました。

しかし、時代は切らないレーザーによるわきが多汗症治療の時代へと移り変わっていきます。

大いに喜びました。

切らずに、固定もなくわきが多汗症の方のお悩み改善のお手伝いが出来るなら患者さんにとってその方が有益だからです。

なので学会に行った時も噂の切らないわきが多汗症治療の機器の講習、講演に熱心に参加しました。

↓学会の様子です。

そして、デモ機を導入し知人のわきが、多汗症で悩みの人に試施術を行いました。

結果は赤み、内出血のある期間(1~2か月くらい)は症状改善しますが、その後は再発してしまうという残念なものでした。

当然、学会で発表されたプロトコール通りに施術を行っています。

その結果を踏まえ当院ではその機器の導入を見送りました。

予算も切らないわきが多汗症治療としてはボトックスより高く、効果もボトックスより短いとなれば当たり前のことです。

またその後も、わきが多汗症治療と名打ってわきの脂肪吸引を行っているクリニックなど様々な患者さんの診察をさせていただきました。(涙)←当然、臭い、汗の症状不変。

わきが、多汗症治療的な脂肪吸引術の何が悲しいかというと、一度脂肪吸引等でわきの範囲に損傷を加えてしまうと癒着が起こります。

その後しっかりとした手術をしようと試みても剥離が非常に困難になり、またアポクリン腺、エクリン腺を除去するのも非常に困難になってしまうんです。

また傷の治りも悪くなります。

私自身が経験してない機器もあるので、現時点でわきが多汗症治療はどの治療がどの方法が最善かは決めにくい状況です。

個人的にはダウンタイムが無い施術は、一定の期間で効果が切れるとしても、絶対に傷を残してはいけない!

傷が残る手術は、絶対に再発してはいけない!と考えております。

当院で手術をさせて頂ければ帰宅する時には今まで悩みに悩んだ臭い、汗から解放されます。

その後は傷を綺麗に治すために抜糸、ストレッチをしていただく必要はありますが。

前置き、かなり長くなりましたが、わきが多汗症手術、今回はイナバ式をまとめます。

イナバ式手術を簡単に説明していきます。

イナバ式組織削除法とは

皮下組織削除法はカミソリの刃がついた特殊な器具を2cmほどの小さな切開からさし込み、ワキガの原因となるアポクリン汗腺、多汗の原因となるエクリン汗腺と腋毛を皮膚の裏側からまとめて削り取る方法です。

わきの下の皮膚全体を厚さ1mm程度になるまで削ることが可能で、アポクリン汗腺と腋毛がほとんど再生してこないためワキガに対する治療効果が確実です。

↑かなり慣れるのに時間がかかるため術者によって仕上がり、汗腺除去率が全然変わります。

また、皮膚の表面に近いところにあるエクリン汗腺も取り除くことができますので多汗にも効果があります。

エクリン汗腺は皮膚に直接ついていますので、多少湿る程度の汗は残りますが、腋の下から吹き出し・流れるような多汗は激減します。

わきが、多汗症治療の手術の実際です。

この写真は、手術中に脇を反転させて汗腺の存在部位を示した写真です。

左の写真の赤くブツブツしているものがアポクリン腺、エクリン腺です。

右の写真の白くブツブツしているものは皮脂腺です。(皮脂腺は、臭い・汗に関係ありません。)

除去後、赤いブツブツ(アポクリン腺、エクリン腺)が無くなり綺麗になっているのがお分かりいただけると思います。

汗腺自体が無くなるので臭い・汗の再発はありません。

費用:320000円(税別)

手術時間:2~3時間

腫れ、内出血 2週間程度

リスク:感染、瘢痕拘縮、血腫の可能性

わきが、多汗症手術(イナバ式)の経過写真 術後1か月

当院のモニター様の約1か月でここまで綺麗になりました。

費用:320000円(税別)

手術時間:2~3時間

腫れ、内出血 2週間程度

リスク:感染、瘢痕拘縮、血腫の可能性

皮膚のよれなどは一切なく、赤み、くすみもこの後、時間とともに殆どわからなくなります。

わきが、多汗症手術(イナバ式)の注意点

手術後は安静が必要

皮膚の下にあるアポクリン腺を取っていきますので、手術が終わった時には腋の皮膚がペラペラの状態になります。身体は元気ですが、腋の皮膚は大きなダメージを受けており安静が必要です。

手術後は腋にガーゼなどを挟んで圧迫し、傷口の安静を保つようにします。

少なくても3日程は腕をあまり動かさないように指示があるはずです。

傷跡が目立ちにくくなるのに時間がかかる

ワキガの手術後は傷口が出来ています。

傷口の抜糸は2週間前後で行います。

その後傷が治っていきますが、傷跡が目立ちにくくなるには時間がかかります。

早い人でも3ヶ月、通常は6か月から1年ほどかけて傷跡が目立ちにくくなっていきます。

創傷治癒の促進のために幹細胞上清液(ステムサップ)の併用が好ましいです。

皮膚が茶色くなることがある

手術後は腋の皮膚がダメージを受けて茶色くなることがあります。色素沈着といいます。
徐々に薄くなっていきますが、茶色い色が残ることもあります。

この様な症状が出た場合、ハイドロキノン、ピコレーザートーニングで改善を図ります。

脇毛がなくなる

アポクリン腺・エクリン腺を切除すると脇毛が生えてこなくなります。女性では気にならないかも知れませんが、男性ですと気になる方もいるでしょうから、事前に知っておいてください。

わきが、多汗症手術(イナバ式)のまとめ

わきが多汗症手術は、長年の悩みから解放され、患者様が笑顔になる美容外科医としてやりがいのある手術です。

丁寧に行えば、合併症も少なく、QOLを改善し非常に喜んでいただけます。

欧米化が進み、これからも確実に無くならない分野ですし、より多くの方にきちんとした情報を伝えたいと思い、今回のブログとしました。

参考にしていただければ嬉しいです。

 

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