肥厚性瘢痕の治療にボトックス?


今回も雑誌PRSに面白い論文発表があったので紹介させていただきます

肥厚性瘢痕の治療にボトックスが有効か否かについてです。

肥厚性瘢痕とは

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは、外傷後などに、創面を修復しようと出来た線維組織が過剰に産生され、いわゆるミミズバレ状の傷跡(瘢痕)が、長期にわたり残存する状態をさします。

肥厚性瘢痕とケロイドは全く違う疾患です。

肥厚性瘢痕の一般的な治療法

ステロイド薬注(ケナコルトなど)

→ステロイド薬は抗炎症作用をもち、皮膚繊維細胞の増殖を抑制します。

抗アレルギー薬(リザベンなど)

→増殖する皮膚繊維細胞を抑制することが可能です。

圧迫療法など

→肥厚性瘢痕の血流を滞らせて、皮膚繊維細胞の増殖を抑制します。

肥厚性瘢痕の治療にボトックスは有効か?

結論→有効であった!

以下論文引用になります。

肥厚性瘢痕を治療するためのボツリヌス毒素A型(ボトックス)およびステロイド(トリアムシノロンアセトニド)の併用レジメンの各薬物単独による治療と比較して、有効性を評価した。

【方法】

外科的に処置した熱傷患者から得た20個の切除したヒト肥大瘢痕断片をネガティブコントロール(A群)、ステロイド単独(B群)、ボトックス単独(C群)、およびステロイドとボトックスの併用(D群)。

これらの標本を、各群からの病巣内注射の後にヌードマウスの背中に移植し、4週間観察した。

合計で、12匹のマウスおよび48の瘢痕が研究された。

4週間後、肥厚性瘢痕を背中から除去した。著者らは、治療有効性を評価するために、瘢痕重量、染色および細胞数を比較した。

結果:4群(A群10%、B群17%、C群23%、D群30%p <0.05)において、瘢痕重量減少の有意差が認められた。治療群(群B、CおよびD)は、強いデコリン染色を示した。4群(群A、0.58;群B、0.44;群C、0.21;および群D、0.08; p <0.05)の間で、線維芽細胞増殖の有意な差が観察された。ボトックスまたはステロイド単独療法は、対照群と比較して有意な治療効果を示した。併用療法は、単独療法と比較して、有意な治療効果をさらに示した。

結論:この研究は、肥厚性瘢痕の治療において病巣内治療のために組み合わせた場合のボトックスおよびステロイドの可能性を示している。

Comparison of Steroid and Botulinum Toxin Type A Monotherapy with Combination Therapy for Treating Human Hypertrophic Scars in an Animal Model

Chen, Hung-Chang M.D.; Yen, Cheng-I M.D.; Yang, Shih-Yi M.D.; Chang, Cheng-Jen M.D., Ph.D.; Yang, Jui-Yung M.D.; Chang, Shu-Yin M.D.; Chuang, Shiow-Shuh M.D.; Hsiao, Yen-Chang M.D.

Plastic & Reconstructive Surgery: July 2017 – Volume 140 – Issue 1 – p 43e–49e

ボトックスがなぜ肥厚性瘢痕に有効か?

ボトックスは線維芽細胞から筋線維芽細胞の分化をinvitroで直接阻害することが報告されています。

したがってボトックスが筋肉の緊張を抑制し、線維芽細胞の細胞周期に影響し、TGF-β1の発現を阻害することによって線維芽細胞の増殖を抑制すると考えられます。

また、ボトックスは、ボトックスの副作用はステロイドに比べて非常に低いです。

ボトックスは脳血液関門を通過せず、催奇形性がない。

ステロイドおよびボトックスの併用は創傷治癒の新しい光になるかもですね。

以上、よろしくお願いいたします。

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